知的財産について |
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技術やデザインは目に見えない思想・アイデアです(知的創造物)。時間と費用と労力をかけて開発した技術・デザインも保護をしなければ簡単に盗まれ使われてしまいます。
自らの技術・デザインを使用する権利を保護し他者の模倣を防ぐためには、産業財産権を利用することが有効です。
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特許権 |
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発明を保護(権利期間:出願から最長20年 ただし一部25年)
特許法において「発明」とは「自然法則を利用した技術思想の創作のうち高度なもの」と定義されています。
・物の発明(プログラム等を含む)
・物を生産する方法の発明
・方法の発明
の3つの種別に分けられています。
特許権を取得するには、特許庁の審査官による実体審査をクリアしなくてはなりません。実体審査は「出願審査請求」を請求した出願にのみ行われます。
特許権を取得後、その特許発明を一定期間・一定条件のもと独占的に実施することができます。
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実用新案権 |
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考案(物品の形状、構造又は組み合わせ)を保護(権利期間:出願から最長10年)
実用新案法では、「考案」を産業上利用できる「物品の形状、構造又組み合わせに係る考案」を保護対象としています。(「方法」や「物質」は保護対象外です)
・ メリット
無審査のため早期に権利化できる・特許と比べ費用がかからない など
・ デメリット
権利の存続期間が短い・技術評価書を提示し警告した後でなければ権利行使できない など
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意匠権 |
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工業上利用できる物品のデザインを保護(権利期間:出願日から最長で25年(2020年3月31日以前の出願は登録から最長で20年))
意匠法で保護される「意匠」とは、「物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。)であって視覚を通じて美感を起こさせるもの」であり、例えばメガネ・化粧品の入れ物などの日用品・半導体素子などの「部品」の形状等が挙げられます。またそれに加え、2020年の法改正により、「物品」だけではなく無体物である「画像」、不動産である「建築物」、「内装」も保護対象になりました。
※意匠制度には審査請求制度はないので原則として全ての出願が審査されます。
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ブランドの保護 |
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社名や商品名はブランドで、他者との区別をします。
築き上げた信用はブランド力となります。しかし、ブランドも保護しなければ、他者の不正使用により利益を奪われるだけでなく、自社の信用も低下してしまう恐れがあります。
ブランドを保護するには「商標権」を活用するのが有効です。
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商標権 |
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商標を保護(権利期間:登録日から10年 ただし更新する ことができます)
商標とは、事業者が自己の取り扱う商品・役務(サービス)を他人の商品・役務と区別するために、使用するマークをいいます。
※商標制度には審査請求制度はないので原則として全ての出願 が審査されます。
商標の主な3つの機能
① 出所の表示
いつも一定の生産者、販売者、提供者によるものであることを示す。
② 品質の保証
いつも一定の品質又は質を備えているという信頼を保証する。
③ 広告機能
商標を使用する者と需要者との間での接触機会を創出し、維持し、発展させる機能
特に、宣伝を通じて商標自体のよい印象 を需要者に与え、商品の購買やサービスの提供を受けることを積極的に誘発することになる。
商標の種類
従来からの商標としては以下のようなものがあります。
①文字商標 ②図形商標 ③記号商標 ④立体商標:立体的形状からなるもの ⑤結合商標:文字、図形、記号、立体的形状の二つ以上を組み合わせたもの
また、法改正により以下の新たな商標が登録できるようになりました。
・動きの商標 ・ホログラムの商標 ・位置の商標 ・音の商標 ・輪郭のない色彩の商標(味、においなどは商標法上の商標ではありません。)
商標権の効力
商標権は、指定商品・役務についての登録商標を独占的に使用する権利(使用権)であり、他人が指定商品(役務)と類似する商品(役務)について 使用を排除することができる権利です。
<商標権の効力が及ぶ範囲>
出願の種類
① 商標登録出願
使用する標章(マーク)を登録するための出願です。
② 団体商標登録出願
団体の会員事業者が使用できる標章(マーク)を登録するための出願。
※例えば団体が 中心となって特産品を作るときなどに利用できます。
③ 地域団体商標登録出願
地名と商品名を組み合わせた商標を登録するための出願。
地域の事業者が一体となって取り組む地域ブランドの保護を図るためにできた制度です。
④ 防護商標登録出願
通常、商品・役務が非類似の場合、登録されている商標と同一のものを使用しても権利侵害になりません。
しかし、登録商標が有名になった場合、非類似の 商品・役務でその登録商標を使用しても混同が生じることがあります。この時、混同の恐れのある商品・役務について防護標章登録を行うことで自身の商標を保護する制度です。
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外国での保護 |
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日本で取得した権利は日本国内でのみ有効です。
外国において製造・販売等をする場合、自社技術・ブランドは模倣される危険性を防ぐために、必要な国の特許庁にそれぞれ出願し権利を取得しなければなりません。 |
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特許 |
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外国で特許を取得する方法は主に2つのルートがあります。
① 直接出願(パリ条約ルート)
外国特許庁に直接出願する方法です。
出願はその国が定める手続に従い、決められた様式を用いて、その国の言語で作成しなくてはなりません。そのため複数の 国に一斉に出願することが困難です。
多くの場合、自国で既になされた出願又はパリ条約加盟国のいずれかの国でなされた出願を基礎とし、パリ条約に基づく優先権を主張し、海外に出願を行う方法が使われます。
※ただし、パリ条約の優先権を主張する場合、先の出願から12ヶ月以内に出願を行わなくてはなりません。
「メリット」
・ 出願国が1~3カ国なら費用がPCTルートより安くなる
「デメリット」
・ 出願国が増えるほど費用がかかる
・ 時間的猶予が少ない
② 特許協力条約(PCT)ルート
一つの出願願書を条約に従って受理官庁(日本であれば日本の特許庁)に提出(国際出願)することで、PCT加盟国である全ての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。
ただし、特許権の付与に関しては各国の国内法で判断されますので、PCT出願後に特許を取得したい 国に国内移行という手続を行う必要があります。
・国際出願後に行われる国際調査(先行技術調査)と国際予備審査で発明を評価・検討する為の情報提供を受けることができます。
・国際予備審査は請求した場合にのみ行われます。
※PCT出願の場合もパリ優先権、国内優先権の主張が可能です。
「メリット」
・ 複数の国に一つの願書で出願できる
・ 国際調査報告書、国際調査見解書、国際予備審査報告を受け、発明の評価・検討することができる
(国内移行する国を厳選することで無駄なコストを節約できる)
・ 出願から国内移行手続を行うまでに時間的猶予があるので、発明の検討や翻訳文の用意が行える
「デメリット」
・ 2、3カ国だけの出願の場合費用が高くつく
・ 権利取得までの時間が長くなる
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商標 |
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外国で商標を取得する方法は主に2つあります。
① 直接出願
外国特許庁に直接出願する方法です。
出願はその国が定める手続に従い、決められた様式を用いて、その国の言語で作成しなくてはなりません。(複数の国に一斉に出願することが困難です。)
② マドリッド協定議定書出願
商標を国際登録することにより複数の国への登録を一括して行うことが可能な制度です。
日本国特許庁に登録又は出願されている商標と同じ商標について国際登録出願をし、国際事務局において国際登録された後、指定国への通知・審査を経て商標が保護されます。
「メリット」
・コストの低廉化
一つの出願手続で複数国での商標権の取得が可能となり、書類の作成や手続が簡素化できます
(書類は英語で作成し、各国ごとの翻訳は不要)
・迅速な審査
締結国での審査の期限が1年(もしくは18ヶ月)と定められています
・容易な維持管理
国際登録の存続期間は、国際登録日から10年です。
10年ごとの更新は国際事務局へ1つの更新申請で複数国の国際登録を一括して更新することができます
「出願の注意点」
・自国に基礎となる商標出願又は商標登録が必要です
・基礎となる商標と同一でなくてはいけません
・指定する商品・役務は基礎商標と同一またはその範囲の中に含まれている必要があります
・国際登録日から5年以内はセントラルアタックの危険性があります
注)セントラルアタック(国際登録の基礎出願・登録への従属性)とは
国際登録日から5年の期間が満了する前に、本国における基礎出願が拒絶または基礎登録が無効・取り消しなどになった場合、国際登録も取り消されてしまうことです。結果、各指定国における商標権も同時に効力を失います。何事もなく5年が経過した場合、この適用は除外され、国際登録は基礎出願・登録から独立したものとなります。
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